歯科衛生士の皆様、患者さんはハブラシで歯肉溝内なんて磨けません。バス法って本当に正しい? 正しい歯磨き。

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歯の磨き方には、スクラビング法とかフォーンズ法、チャーターズ法、スティルマン改良法、等々 実は色々あるんです。ですが、普通の方はそんなの考えたこともないですよね? 角度~、とか、動かし方~、とか考えないですよね?歯にハブラシを当ててシャカシャカ磨くだけでしょ?
これが、歯科医院で歯磨きの講習があったりすると 「バス法」という歯磨き方法を教えられたりする場合があります。

バス法とは?


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正しい歯の磨き方として何十年もテレビCMや様々な媒体を通して啓蒙されている歯磨き方法に「バス法」があります。バス法が最初に提唱されてからもう60年以上経っていますから、一般の方でも歯に興味がある方は この「バス法」を聞いた事があるかもしれません。
我々、歯科業界ですと「バス法」を知らない人はまずいません。ネットで、「正しい歯の磨き方」で検索しても よくこのバス法が出てくるんですけど、本当に正しい磨き方だとは とても思えないんです。
この「バス法」を簡単に言うと、「歯と歯肉の境目に45度の角度で歯ブラシの毛先をあて、小刻みに動かす」という方法なんですが、コレ 歯周病の改善や予防には向いていない磨き方だと思っています。バス法だけで、磨いていたら まず磨き残こすでしょう!


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今でも、多くの歯科医院やハブラシメーカーのホームページで このバス法が掲載されていて、実は、われらが日本歯科医師会のホームページにもこれが出てきます。この「バス法」イラストやCGの動画にすると とても良い方法に思えるんですよね。僕もしっかり洗脳されて、一時期このバス法で磨いてました。
ですが、歯科医師になって実際に患者さんに歯磨き指導をしてみると
・バス法で磨いている患者さんはもれなく歯垢(プラーク)を磨き残す
・歯が並んでいる外側も磨き残すけど、内側はほぼ全滅に近い
という事に気がつくんです。

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こんな感じです。赤い所が磨き残っている歯垢(プラーク、細菌)

本当に、バス法を信じている方々は思いっきり(歯と歯肉の境目の80~100%を)磨き残すんです!


バス法を説明する為に、よくあるイラストに 歯と歯肉の境目のポケットにハブラシの毛先が入り込んでキレイにする というのがありますが、↑↑↑上の写真のように歯と歯肉の境目すらキレイに出来ないので、ポケットの中なんてもう絶対に無理なんです。

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 とてもイラストは綺麗なんですけど、実際にこのような事は起きませんし出来ません。
(もし、歯と歯肉の境目の中までキレイにしたい場合は フロスを歯肉の中まで入れるor歯間ブラシを直接 ポケットの中に突っ込むという方法しかないです)

 

 

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上↑↑↑は歯石の写真ですが、クリーム色の歯石が歯と歯肉の境目にU字型に付いていますよね。逆に言えば、歯と歯肉の境目以外はけっこう綺麗です。このように多くの方々は歯の根元のところが磨けないんです。そして、歯周病を改善したいなら この根元の部分をキレイにするのことが必要不可欠なんです。


・なぜ、歯の根元が磨けないのか?

歯は球体なんです!

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こんなイメージです。

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球体の下の部分(青い所)を斜め上の方向から磨くのって無理ですし、道理に合いません。

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真横からでも歯ブラシの毛先は 上手くぴったりとは歯に当たりません。

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正しいバス法のイメージはこんな感じでしょうか?

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バス法のイメージです。ハブラシの毛先は歯に当たらなくて、もし当たったとしても毛束のサイドしか当たらないんです。これでは磨き残ります。

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球体の下側を磨きたいと思ったら普通は下側からブラシを当てますよね?

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歯の根元の部分を磨きたいなら、ハブラシの毛先は下から上に向けた方が理にかなってるんです。

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何度も言いますが、歯は球体なので

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ハブラシを縦にして下から当てるのも必要です。

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更に言えば、歯の根元の部分って急カーブして窪んでいることが多いんです。

 色々な瓶やコップなどの底のコーナー部分も痛くない様に丸くなっていますよね?

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鏡を見て、ご自分の爪先で歯の根元を触ってみてください。少し段差になっているのが分かるかもしれません。

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そして、このコーナー部分がバス法だと磨けないんです。

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ハブラシの毛先が上に向いてないと磨けないですよね?

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磨きにくいので、歯石は根元に付きやすいんです。根元より上の部分は磨けてるので まあまあキレイでしょ?

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ハブラシを下から上に向けると、歯と歯の間に毛先が入っていきます。
この角度を是非チャレンジしてみて体感して欲しいです。
(上の歯の場合は、上から下)

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ハブラシを縦にして、左右の下から上の方向で磨いています。

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・まとめ

あちこちで正しい歯の磨き方とされている「バス法」は、決して歯の根元を磨くのに適した方法ではありません。「バス法」で磨いている多くの方々は、歯の根元の部分にハブラシの毛先を触れさせる事すら出来ないので、実際 歯の根元の80%~100%の部分を磨き残します。歯周ポケットの中までキレイに磨けるというのは幻想でしかないんです。
ただ、「バス法」をやっていけないとは言っていません。歯は球体なのでありとあらゆる方向から磨かなければキレイに出来ないので「バス法」のように上斜め45度の方向からもやっていいんです。ただし、上斜め45度から磨くのなら 下斜め45度からのアプローチも必要なんだということです。そして、歯周病の改善、予防にはこの下斜め45度からの下から上への磨き方が重要なんです。
(左斜め下からや、右斜め下からも必要です)
余談ですけど、歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)も当然 必要なので、これらもよろしくお願いします。

(歯科衛生士の皆様)
最後まで読んでいただき感謝 致します。もし、日頃のTBI にバス法を取り入れてるのでしたら、一度ご自分でバス法で気が済むまで歯を磨いて染め出してみてください。磨き残し0%に出来てますでしょうか? と言うより、殆どの歯科関係者の方々って 卒業してから自分の歯を磨いて染め出してみるなんてことは一回もした事がないんじゃないでしょうか? そもそも、学校で歯の磨き方の知識は習いますけど、実際に磨き残し0%を達成するようなトレーニングとか受けなかったですよね?
我々、歯科医師にも大学でそんなカリキュラムはありませんでした。国家試験のペーパーテストには出題されるので、歯磨きの色々な〇〇法の特徴は頭に入っているんですが、実際の生活での歯磨きって歯科医師でもホントに自己流のオンパレードです。

磨き残し0%を目指すような歯磨きのトレーニングがカリキュラムに入っている大学を僕は知らないです。昔の学生も習っていないし、複数の大学の今の学生に聞いても全く習っていません。習わないので無理はないのですが、今の5年生や6年生の歯科大生を見ても全然磨けないです。(ウチの患者さんの方がまだ上手いかも...)そして、そのまま卒業してしまうので そのまんまの筈です。

実際、磨き残し0%にするって凄く大変です。ネット上の情報やYouTubeを見て、すぐに字が上手くなったり、スポーツが上手くなったりしないように、歯磨きも聞いてすぐに出来るようなものではありません。出来ない人は一生出来ないままです。
歯科衛生士の皆様も「磨き残し0%」を達成してみると、文字に表すのが大変なコツみたいなものが分かると思います。その体験を是非 日頃の診療に役立ててください。
日本人の歯への関心度って先進国の中では最低のランクで、実際、高齢者の残存歯数も最低レベルですよね。ですが、いつかムーブメントが起こって突然 日本人が自分の歯を綺麗にするようになる日が来るんじゃないかと期待しています。それまで、コツコツと日々お互いに頑張りましょう。これからもよろしくお願い致します。

(ご注意)
顕微鏡を使って治療をしたり、難しいインプラントなどの手術をなさる歯科医師の先生方は 自ら歯磨き指導をする時間が取れなくて、その分野は歯科衛生士の方々に担当していただいてると思うんです。ちゃんとしている歯科医院ほど役割分担がしっかりしているものです。
歯科医院のHPにバス法が載っているからといって、その歯科医院が良くないわけではありません。僕より優秀な方々がいっぱいいっぱい います。ただ、立派なHPのほんの一部の歯磨きの部分だけが どうなのよ? と思うだけです。

 

(独り言)
コレ全然 染まらないので他のを使ってね。この一流メーカーにも日頃 大変お世話になっているんだけど、何でコレだけ全然ダメなんだろう...。

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 次記事。実はこれが書きたかった!

hamigaki8020.hatenablog.jp