・なぜ、歯間ブラシとデンタルフロスが必要なのか?
歯間ブラシ、フロスを使わないと歯の間が絶対に磨けないからです。
普通のハブラシでいくら頑張って磨いても、歯の間の部分は ほぼ100%磨き残こします。
歯間ブラシとデンタルフロスは絶対に必要なんです!
【大事な前提】
歯を磨くのは歯垢(プラーク、細菌)を取り除くためで、間違っても食べかすを取るためではありません。
あくまでも敵は細菌であって、食べ物はどうでもいいんです。
・歯間ってどこ?
何となく理解しているとは思いますが、歯間部(歯と歯の間)ってどこでしょう?
次のイラストの 歯の間の赤い部分ですよね?
この赤い部分って普通のハブラシで磨くことは不可能なんです。
細めの毛先のハブラシを使って、歯並びの外側と内側からしっかりと磨いても磨き取ることは全く出来ないんです。
以外に思われるかも知れませんが、
・歯の形態って、外側や内側より 歯間部(歯の間)の方が面積が広いんですよ。
歯は、食べ物の「柿の種」みたいな形をしているんです。
歯の外側、内側の面と 歯の間の面は90度の関係にあります。サイコロの3と4の面を一生懸命に磨いても2と5の面はキレイに出来ないように、歯の外側や内側からどんなに頑張って磨いても歯の間の部分は磨けないんです。
小さ目のブラシを使って、この状態で一生懸命にリンゴを磨いても リンゴの間の部分ってキレイに出来ないですよね? 大きいブラシだったら、なおさら磨けないです。
なので、歯間ブラシやフロスを使わないと歯の間は全く磨けないんです。
・歯の表面について
歯の表面って、ガラスのような綺麗な球体ではありません。ツルっとしているわけではないんです。テキトーに磨いていれば綺麗になるなんてことは絶対にありません。
歯垢(プラーク)を取り去って、完璧に細菌をゼロにするのは不可能なんです。
歯を30倍に拡大しただけでも、微妙な凹凸があるのがわかります。
300倍だと、表面にはクレーターみたいな構造が見れます。
700倍だと、さらに線状の模様も見られます。
歯を切断して見た電顕画像です。黄色のところが歯のエナメル質の表面です。
結構、デコボコしているんです。
磨けていないエナメル質の表面は、常に歯垢(=細菌)が付いたままになります。
歯垢は成熟していき、何百種類の細菌で複雑に混沌とした状態になっていきます。
こういった微細な表面性状に対してハブラシの毛先は巨大すぎるんですね。
このように歯はとても複雑な形をしているので、普通のハブラシだけを使って 歯間の部分の歯垢(=細菌)を取り除くなんて絶対に不可能なんです。
・歯間ブラシとデンタルフロス(糸ようじ)のどちらが大事?
結論から言えば、大人でしたら歯間ブラシが重要です。小学生以下の年齢でしたら虫歯予防が主になるのでフロスです。 大人にとって歯間ブラシは予防歯科に絶対に必要です。ただ、歯間が狭くて歯間ブラシが入らない場合はフロスを入れるしかありません。
床やテーブルの上を綺麗にしたいときに糸(フロス)をピンと張って床やテーブルを擦っても汚れってかなり残ると思いますよね? 所詮、糸ですから! ブラシの方が綺麗になるのは当然なんです。
実際の患者さんでも、フロスは使っているけど、歯間ブラシを使っていない人のほとんどが 歯周病(歯肉炎)を発症させています。ハブラシとフロスだけでは、歯周病(歯肉炎)は中々防げないんです。
ところが、これらの方々が歯間ブラシを使うと、どんどん歯周病(歯肉炎)が改善されてくるんですね。この事実からも歯間ブラシの使用は本当に大切なんです。
もちろん、歯間ブラシとフロスの両方を使うのが一番いいです。
そして、歯間ブラシとフロスの両方を使っても歯垢(=細菌)はゼロには出来ないので、時々 歯科医院でクリーニングを受けた方がいいです。
歯磨きに自信がある人でも、磨き取れる平均の除去率は28.7%(磨き残し71.3%)なんです。
(おまけ)
まとめサイトとかに、「歯肉が下がるので、歯間ブラシは必要な人だけ ほどほどに...」みたいな記述がよくありますが、これは間違っています! 歯間ブラシを使うと歯肉の炎症が消褪するので 歯肉の腫れが収まって 歯肉が下がるように見えることがあるだけで、正常な歯肉が歯間ブラシで退縮することはありません。
百歩譲って、もし歯肉が下がったとしても歯を失うよりはいいと思いますけど。
もちろん、普通の歯磨きも大事なので...。