歯並びを治したい! 歯の見た目を良くしたい! これに対し、昔から歯科矯正という方法がありました。費用と時間がある方は、この歯科矯正が第一選択でいいと思います。
ですが、この数年 セラミック矯正(実際は矯正ではありません)という 歯を削ったり、歯の神経を抜いたり、場合によっては歯を抜いたりしたあとに、セラミックのかぶせものを被せるという方法がYouTubeやinstagramに多く上がるようになりました。
セラミック矯正を全否定する気はありませんが、健康な歯を削ってしまうのは とても勿体ないと思っています。
そこで、今回は うちのスタッフや スタッフの友達に施したダイレクトボンディングという方法による見た目の改善を見てください。
・ケース1
(before)
前歯が斜めに曲がって生えていて、歯の長さが違うように見え、隣の歯とも並行でなく、歯並びに前後の段差があります。
(after)
ダイレクトボンディングで、歯ぎしりなどで欠けたり、すり減ったりした歯の先端などを治して、さらにホームホワイトニングをしました。
全く歯は削っていませんし、歯の先端がコンポジットレジンでカバーされるので、歯ぎしりをしても自分の本来の歯そのものがすり減ることはなくなり 歯にとってはより安全になります。
(before)
前歯の中心が 顔の正中からずれているように見えます。
(after)
真っ直ぐに生えているように見えるようになりました。
本人曰く、「今まで 全く歯なんて気にしたことなかったけど、今は他人の歯もめっちゃ気になるし 凄く歯を見ちゃう。あぁ、この人は歯並びはいいけど歯は黄色いんだ!とかめっちゃ思う」そうです。髪の毛に気を使うのと同様に、自分の歯に興味が湧いてきて、歯も綺麗で、歯肉も健康であたりまえという気持ちが芽生えたのはいいことだと思っています。
・ケース2
(before)
ご本人の結婚式が目前にあるので、あまり時間が無いけど何とかならないかと頼まれました。
(after、1年後)
両サイドの犬歯は全く咬み合わせに関与していなくて完全に飛び出ていたので抜歯しました。他の歯はダイレクトボンディングで治してホームホワイトニングをしています。これも全く歯は削っていません。
(5年後)
歯を削っていないのと、矯正もしていないので模型のような綺麗な歯並びには出来ませんが、本人的には、今は自信を持って人前で笑えるとのことで、とても感謝されています。
コンポジットレジンの耐久性はセラミックに比べれば落ちますが、近年のコンポジットレジンはとても優秀で10年以上普通に輝き続けてくれます。さらに、セラミックと違って補修がとても簡単なので、形や色をいつでも変えることが出来るのは圧倒的なメリットだと思っています。
・ケース3
(before)
歯が斜めに生えているのと、前後の生え方にも差があるので 左右で歯の長さが違うように見えます。
(after)
ダイレクトボンディングで先端を治して、ホームホワイトニングをしています。これも全く歯は削っていません。
(before)
(after)
歯が綺麗になると、歯に意識がいくようになるので、歯を磨くときに 歯間ブラシも使うようになり歯肉も健康になりました。このまま歯に意識を持っていただけたら、高齢者になっても入れ歯とかの世話にならないで済むと思っています。
・セラミック矯正とダイレクトボンディングの違い
セラミック矯正(一部ではクィック矯正とも言っています)は、とにかく歯を削らないと出来ません。歯並びによっては、歯の神経を取らないと出来ない場合もあります。僕のダイレクトボンディングは、とにかく歯を0.1mmも削りたくないので自由度に制限はありますが、色々なテクニックを使って見た目が良くなるように努めています。セラミックとコンポジットレジンの材質だけをみれば、セラミックの方が硬いので丈夫なのですが、治療としてみた場合は、歯を削らないダイレクトボンディングの方が歯そのものが強いので結局は長もちします。
しかも、ダイレクトボンディングは、歯にノーダメージで何回でも行うことができますし、さらに歯の先端がコンポジットレジンでカバーされるので、全く削らずにダイレクトボンディングで治された歯は 天然歯より丈夫だと思っています。歯を100年以上保ちたいなら、ダイレクトボンディングはとても有効な方法だと思っています。
ダイレクトボンディングの特徴
・歯を削らないで出来ます。当然、麻酔も要りません。
・最短でその日に治すことが出来ます。
・繰り返し治すことが出来ます。
・費用が安いです。歯科医院によるとは思いますが、セラミックに比べて1/3から1/10以下の費用で出来ると思います。その歯に虫歯があったり、歯の一部が割れたりしていれば健康保険で治すことも可能だと思います(繰り返しですが、歯科医院によります)。
・近年のコンポジットレジンは、超微粒子フィラーを用いたナノテクノロジーを使ったものが多く、以前のものに比べ非常に物性があがりました。 すり減ったり、変色したりすることを気にしないで使用できます。
セラミック矯正の特徴
・とにかく歯を削ります。神経が死んでしまってあとでトラブルになることもあります。
・変色はしませんが、あとから色を治したり、割れて補修することが困難です。
・費用が高いです。
・セラミックで治したものが一生(50年以上)もつことは ほとんどありません。
最後に
最初にお伝えしましたように、歯並びを治したい場合に第一選択となるのは歯科矯正です。ですが、歯科矯正は何年間かの時間がかかるので、すぐに歯並びを治したい人がセラミック矯正を選択してしまうケースがあります。ダイレクトボンディングで歯並びの見た目を治すやりかたは、ほとんどの歯科医院で行っていないかもしれませんが、今 セラミック矯正を考えている方は ダイレクトボンディングという方法があるということも知った上で、今後の治療の選択をなされるといいなと思っています。
もし、ダイレクトボンディングで治してどうしても気に入らないのであれば、それからセラミック矯正でいいのですから。ダイレクトボンディングは一切 歯を削らないで出来るのであとから何でも出来るんです。
人類は睡眠中のノンレム睡眠の時に必ず咬むように脳から指令が出ています。食い縛り(歯ぎしり)は人類全員がしているんです。こういった事から、歯は消耗品なので、寝るときにナイトガード(マウウピース)をすることを推奨しています。夜中の食い縛り(歯ぎしり)さえ防げばコンポジットレジンが壊れることはほとんどありません。近年のコンポジットレジンは非常に優秀で、どんな硬い食事でも すり減ったり割れたりすることはありません。
コンポジットレジンが割れるときは夜中の食い縛り(歯ぎしり)の繰り返しによるコンポジットレジンの疲労が一番の原因です。夜中の食い縛り(歯ぎしり)の繰り返しは、天然歯もセラミックをも破壊します。
ナイトガード(マウスピース)があればホームホワイトニングが出来ます。ホームホワイトニングはオフィスホワイトニングより優れていると思っています。
歯周病予防と共に、ダイレクトボンディング+ナイトガード(マウスピース)+ホームホワイトニング、これは 100歳まで歯を残したかったら最強の組み合わせだと思っています。