犬歯のストレッチ。犬歯の先端がすり減って 平らになってたら要注意!

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堀江氏(ホリエモン)の「健康の結論」に「犬歯のストレッチ」なる言葉が出てきます。前から 講演会などでも この「犬歯のストレッチ」という言葉を使っているみたいですが、実は この「犬歯のストレッチ」は造語で「犬歯のストレッチ」に当てはまる適切な言葉が歯科業界にはないんです。
僕も初めて聞いた「犬歯のストレッチ」なのですが、案外 これはこれで いいんじゃないかと思っています。


この「犬歯のストレッチ」、我々 歯科医師が言うとすると 「歯ぎしりとかで すり減って平らになった犬歯の先端にレジンなどの人工物を足して再び尖らせる」というような 長々とした表現しか持ち合わせていないんです。
犬歯の先端がすり減って平らになっている事は、予防歯科においてとてもマイナスな事なのですが、ほとんど世間には周知されていないと思います。

虫歯予防だけでなく歯周病予防が大切なんだという時代に ようやくなってきました。
ですが、歯ぎしり や食いしばり に関しての知識は まだまだ浸透していません。
このキャッチーな「犬歯のストレッチ」の概念が広まって一人でも歯が助かる人が増えるといいな と思っています。

今回のブログの主旨は、「犬歯がすり減ったままだと 奥歯が割れるよ!」です。

お伝えしたい本題は3つ。

1. 犬歯誘導という人間に本来 そなわった咬み合わせについて

2. 犬歯がすり減っていたらレジンで簡単に治しましょう

3. 「犬歯のストレッチ」の概念は全ての歯科医師が持っている訳ではありません

【1. 犬歯誘導という人間に本来 そなわった咬み合わせについて】

基本的な人間の歯並びは、歯を真っ直ぐに しっかりと咬み合わせたときには 全ての上下の歯が接触しているんです。

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そこから力を抜いて 顎を左か右のどちらか一方にゆっくり大きく動かしてみてください。すると、犬歯だけが当たって奥歯に隙間ができるはずなんです。つまり、奥歯で歯ぎしりが出来ないようになっているんです。
これが「犬歯誘導」です。

 

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歯は、咬み合わせるときの垂直の力には強いんですが、横への力には弱いんです。
人類は食事のときに 顎を上下だけでなく左右にも動かしているんですが、この「犬歯誘導」によって 歯を横に ぎりぎり動かした力で 奥歯が すり減ったり割れたりするのを防いでいるんです。

強く咬んだときに前歯より奥歯の方が力が入りますよね?
顎の関節の構造上、前歯より奥歯の方が より力が入って 歯にかかる力の負担も大きいんです。
犬歯は人間の歯の中で 最も根が長くて丈夫で、比較的負担のかからない前歯の位置にあるので、犬歯だけは 顎を横に動かしたときに当たっても大丈夫なようになっているんです。
 
この犬歯の先端がすり減ってくると、この「犬歯誘導」が無くなるので 奥歯で歯ぎしりが出来るようになってきます。一見、より良く咬めそうに見えますが、奥歯にとっては力の負担が大きい咬み合わせなんです。

写真1
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写真1では、顎を右に動かしても犬歯が当たらず 奥歯のみが当たっています。まだ20代で、マウスピースを10代からしているので 奥歯のすり減りや 歯のひびは顕著ではありません。

 

写真2

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写真2も 顎を右に動かしていて 全ての奥歯が当たっています。すでに犬歯や奥歯に縦ひびが入っていますし、犬歯だけでなく 隣の小臼歯(4番、5番)の先端もすり減っています。
まだ、20代前半の方なので このままいけば 間違いなく60代くらいには歯の崩壊が始まります。人生100年時代で、60才から100才まで40年間もあるので、このままで 一生涯 自分の歯をキープするのは かなり難しいです。

2. 犬歯がすり減っていたらレジンで簡単に治しましょう

 

下の写真の人はまだ中学生です。10代で既にここまで すり減っていて、このまま何もしなければ、間違いなく将来は歯が割れたりします。

先端を足したのが ほとんど分からないでしょ? 

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微妙なコツみたいのはあるんですけど、歯科医師なら誰でも出来ます。

写真だけでなく、実際に見ても殆ど分からないように足せます!

この人も20代前半の方です。

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犬歯の先端を足す前と後で、足した後は 顎を横に動かしたときに 奥歯により大きな隙間が出来るようになっているのが分かりますか?

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レジンで足しましょう

犬歯の先端に足している材料はコンポジットレジンを使っています。

コンポジットレジンには沢山の種類があって、使用する接着剤も特殊で 数多くあるんですが、歯を全く削らないで足せるので、歯にとても優しい治療なんです。

 金属を使って足すという方法も知っていますが、見た目も悪いですし 歯を少し削ったりするので歯がもったいないです。

レジンで取れないの?
と、他の歯科医師に聞かれる事もありますが、これは患者さん次第です。
元々、歯のエナメル質(人間の体の中で一番硬い)を すり減らす癖がある方々なのでレジンもすり減るに決まっています。

なので、一か月で取れてしまう方もいらっしゃいます。ですが、何年も取れない方も いっぱい いらっしゃるんです。10年以上取れないケースも普通にあります。

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この犬歯の先端は、レジンを足して3年過ぎました。ややすり減って来ていますが まだ大丈夫。

歯には既に縦ひびが入っているので、このレジンが無くなると怖いです。

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この犬歯の先端のレジンは 足して2年が過ぎてます。この犬歯と隣の小臼歯にも既に縦ひびが入っています。


犬歯の先端のレジンが取れるかどうかは患者さんの歯ぎしり(食いしばり)のコントロール次第です。 コントロールが出来る人は結構 大丈夫なんです。
ただ、もし取れても またレジンで足してあげればいいだけです。とにかく、歯を削っていないので何回でも問題なく出来ます。

すぐに取れてしまう方はマウスピース(ナイトガード)をすれば取れなくなります。
基本的には、現代人は 寝るときにマウスピースをしてる方がいいので、すぐに犬歯の先端がすり減ってしまう人は 尚更 マウスピースをして寝た方がいいです。

 

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3. 「犬歯のストレッチ」の概念は全ての歯科医師が持っている訳ではありません

 「犬歯誘導」は全ての歯科医師が知っています。ですが、この「犬歯誘導」が大事だという認識は全ての歯科医師に共通している訳ではありません。
歴史的にも「犬歯誘導」でない他の咬み合わせの方が 理想であるとされた時期もありましたし、現在でも そう思っている歯科医師もいます。

・犬歯の先端がすり減るのは老化に伴うもので仕方がない。
・犬歯の先端がすり減るのは、生理的なもので問題ない。

という考えもあります。

犬歯がすり減って、奥歯で歯ぎしりが出来るようになると 奥歯も当然すり減ります。
ですが、これで大きな問題が出るのは60歳近くになってからなんです。

日本人の平均寿命が60才を越えたのは1950年です。
平均寿命が70才を越えたのは女性は1960年、男性は1971年です。
なので昔は、犬歯がすり減って 奥歯に大きな問題が出るころには 命の方に問題が起きていたんです。
更に、昔は 歯周病が防げなかったので、60才の頃には歯が無いか、歯周病で上手く咬めなかったので 歯がすり減らなかったんです。

最近は、人生100年時代と言われています。

1970年生まれの人は、男性は91.6歳まで二人に一人が、
女性は98.6歳まで二人に一人が生きます。

1980年生まれの男性の二人に一人は93.8歳 まで生きますし、
女性に至っては100.6歳まで二人に一人が生きます。

1980年生まれの男性の場合、
4人に1人は99.8歳まで生きるんです。

人生100年時代は未来の話ではなく今の話なんです。しかも、歯周病の予防も広まってきました。

奥歯がすり減ることや、割れることを防がないと100才まで歯は持ちません。

すり減った犬歯の先端をレジンで治す方法は 大学で習う訳ではありませんし、一部の歯科医師が行っているのみです。

「なるほど、その手があったか!」
と言われる事もありました。

このキャッチーな「犬歯のストレッチ」の概念が少しでも広まるといいな と思っています。

(あとがき)
犬歯を保って 奥歯での歯ぎしりを予防できても、顎を左右に動かさなければ 普通に食いしばる事は出来るので 100才までには歯が割れる可能性が高いです。
出来たら、マウスピース(ナイトガード)をして寝た方が安全です。

 

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